学士入学体験記



       

【入学手続】
受験票と引き換えに受け取ったのは、健康診断に関するアンケート、同窓会の案内、単位認定の書式、履修の手引き、シラバス、ガイダンスの案内、学金と授業料の振込用紙だった。既修単位を認定してもらうために、以前の大学に電話をしシラバスのコピーを送ってもらった。それをもとに認定してもらう単位を書類に記載した。同窓会の会費および入学金を郵便局で払い込んだ。各書類を郵送して手続きが完了した。
他学部からの編入学ということで、関連する科目が少なく、単位認定の書類で申請できた専門科目の単位はわずか8単位だった。しかもこのとき初めて、教養の英語の単位が足りないことも知った。履修の手引きとシラバスを見て3年間の履修計画を立てた。

【新入生ガイダンス】
学士入学者は入学式には出席する必要はなかったが、新入生ガイダンスに出席することになっていた。周りは若い学生ばかりで、ちょっと気恥ずかしい感じを受けつつも講堂で行われるガイダンスに出席した。履修に関する説明や情報セキュリティに関する説明を受け、終わった後に、メールとログインIDの申請用紙を提出した。その後、事務室に向かい、学生証を受け取った。憧れだった工学部の学生証が眩しかった。大学の生協で履修する授業の教科書を購入した。

【1年目前期】
私は二部だったが、制限付きで昼間の授業も履修できることになっていた。入学時にはアルバイトをしていなかったので、昼、夜問わず履修する授業を決めた。一年目から電気系の専門科目を履修することは無理があると考え、教養科目と卒業単位として認められる学部他学科の専門科目を中心に履修することにした。
      
 1時限2時限3時限4時限5時限6時限7時限
 地理情報学 教養基礎物理I 英語II(必修)線形代数I(必修)
     フレッシャーズセミナー(必修)地域福祉論
      微分・積分I(必修)
     工業数学第一(必修)応用数学概説I(必修)
     データ構造とアルゴリズム解析概説I(必修)

集中講義:電波法規、特別講義(必修)

入学して最初の授業が微分・積分Iだった。アメリカの大学院出身の先生が英語で証明問題をずらずらと書き始めたときは、かなりの衝撃を受けた。筆記体が読めない、理論が全くわからない、質問攻めにされる等々、とにかく大変な授業だった。高校で物理を履修していなかった私は、教養基礎物理の授業の内容がさっぱりわからず、高校の参考書を使って予習・復習を行うという状況だった。教養の数学と平行して専門の数学も履修したため、授業の内容が全く理解できないという日々を送った。猛勉強をして何とか全ての単位を取得した。

【1年目後期】
履修を開始した時期は、前期に開始した研究補助のアルバイトの契約が切れて特に何もしていない時期だったので、昼、夜問わず履修する科目を決めた。最短の3年間で卒業することを考えて、やや無理をして教養の数学、専門の数学、電気系専門科目および実験科目を履修することにした。

集中講義:発電工学
     
 1時限2時限3時限4時限5時限6時限7時限
   電気電子回路第一@(必修) 英語II(必修)線形代数II(必修)
     EEI基礎実験第一@(必修)EEI基礎実験第一A(必修)
      微分・積分II(必修)
 電気電子回路第一A(必修)   工業数学第二(必修) 
      解析概説II

電気系の学生が最初に学ぶ電気回路の授業を履修したが、これも高校で物理を勉強してきたことを前提に授業を進めるので、高校で物理を履修していなかった私にはとても難しかった。高校の物理の参考書を読みながら、予習・復習をするという日々だった。さらに、電気回路の理論を前提にした実験科目を履修したため、実験の理論がわからず、実験レポートの作成が大変だった。図書館でありとあらゆる本を探し、わからないことは教員に聞いたりして、必死になってレポートを作成した。努力のかいがあってか全ての単位を取得した。

【2年目前期】
この時期、昼間、大学で研究補助のアルバイトをしていたため、夜間の授業を中心に履修することにした。教養科目の履修を終えたので、電気系の専門科目と実験科目を履修することにした。
     
 1時限2時限3時限4時限5時限6時限7時限
工業数学第三(必修)  電気電子回路第二@(必修) 電子回路@(必修)電気電子物性@(必修)
     EEI基礎実験第二@(必修)EEI基礎実験第二@(必須)
     工業数学第三(必修)基礎電磁気学第一(必修)
電気電子回路第二A(必修)    電子回路A(必修)電気電子物性A(必修)
     EEI基礎実験第二A(必修)EEI基礎実験第二A(必修)

集中講義:情報数学(必修)

このころになるとある程度電気の理論がわかるようになっていた。しかしながら、電気電子物性、電磁気学と、物理の基礎知識を問われる科目には今までと同様に苦労した。実験科目が週2日の連続授業ということで、次々にレポートの提出が大変だった。朝から仕事に行き、夜は授業、夜中までかかってレポートを作成するという日々を送った。必修科目ばかりで1単位も落とせないという状況の中、精神的にも追い詰められていた。この時期が4年間で最も大変な時期だった。何とか全ての単位を取得した。

【2年目後期】
大学での研究補助の仕事と研究機関での研究補助の仕事をすることになっていたため、学業の負担を減らすため2科目のみ履修することにした。この時点で、履修順序が決まっている実験科目の履修を1年遅らせて、当初の計画を変更し、4年間で卒業する計画にした。
     
 1時限2時限3時限4時限5時限6時限7時限
       
       
 基礎電磁気学第二(必修)     
工業数学第四(必修)      
       

勉強にも十分に時間を使うことできた。学業だけで考えると、この時期が一番楽だった。全ての単位を取得した。

【3年目前期】
研究機関での仕事を辞め、ソフトウェア会社で働き始めていた。仕事と学業のバランスを考えて、4科目を履修することにした。
    
 1時限2時限3時限4時限5時限6時限7時限
電気機器システム情報伝送工学     
       
     パワーエレクトロニクス基礎制御工学
       
       

集中講義:産業概説

電気系の専門科目にもだいぶ慣れ、履修科目も少なかったので楽だった。全ての単位を取得した。

【3年目後期】
この時期も大学の研究補助とソフトウェア会社でのプログラマの仕事を掛け持ちしていた。仕事と学業とのバランスを考えて、実験科目と専門科目を履修することにした。
    
 1時限2時限3時限4時限5時限6時限7時限
 電気電子材料VLSI設計    
     電子情報工学応用実験@(必修)電子情報工学応用実験@(必修)
       
       
     電子情報工学応用実験@(必修)電子情報工学応用実験A(必修)

履修を1年延期していた実験科目を履修することになった。1学年下の学生といっしょに実験を行うことになり、人間関係に不安があった。悪い予感が的中してしまい、教員に相談したりした。幸い最後はうまく修復することができた。全ての単位を取得した。

【4年目前期】
大学とソフトウェア会社をほぼ同時期に解雇されていたため、昼、夜問わずに履修することにした。卒業単位をだいぶ満たしてきていたので、履修できる授業自体が少なくなっていた。授業の合間に就職活動をしていた。また、4月下旬からは新しく決まったWebデザインの会社でプログラマとして働いていた。
    
 1時限2時限3時限4時限5時限6時限7時限
     電気エネルギー工学メディア情報処理
       
     電力システム工学光電波伝送工学
       
 通信方式  電子情報工学プロジェクト(必修) 電子情報工学プロジェクト(必修)

集中講義:電気電子計測、電気法規及び施設管理

あとは卒業を目指して数をこなすだけという状態になっていた。電気系の学生を3年やっていても理論の難しさは感じるのだが、難しいことに対して免疫ができてきたのか、勉強を苦痛と感じなくなっていた。この時期、卒業予定の学生は、卒業研究をしていた。私も研究をしたいという気持ちがあり、仕事をしなければならず卒業研究を履修できないのは少し寂しかった。思ったよりも早い時期に就職先も決まり、学業と仕事に専念することができた。

【4年目後期】
週4日、Webデザインの会社で働きながら、大学に通っていた。4年目前期の段階で卒業単位は満たしていたが、電気主任技術者の任用資格の単位が足りていなかったので、その単位を取得できるように履修科目を決めた。卒業単位を満たしていたので、精神的にも楽になっていて、楽しく勉強することができた唯一の時期だった。
    
 1時限2時限3時限4時限5時限6時限7時限
     エンジニアリングデザイン 
数値計算法システム最適化     
       
       
       

もう少し早い時期にこの時期のように楽しく勉強したかったと思っていた。最後の授業なので気を抜かずにきちんと勉強をした。全ての単位を取得した。

【卒業判定】
3月13日、1ヶ月半ぶりに大学に向かった。卒業判定の結果を見に行くためだ。学士入学者である私は、他の人と履修方法が異なるため、履修の手引きを何度も参照し、教員や事務員に何度も問い合わせて、今まで履修した単位で卒業できることを確認してきた。聞くところによると、例年、学科内で2、3人は就職も決まっているにもかかわらず、単位が足りないことに気づかずに留年となっているとのことだ。このような話も何度か聞いているだけに、この日まで全く気が抜けなかった。無事に自分の学修番号があることを確認した。

以下に、学士入学後に履修した全科目の成績ごとの累計を示す。評定平均値3.8、優率58%となっている。他人の成績表を見たことがないので何とも言えないが、中の上くらいの成績ではないだろうか。結果だけ見ると、それほど苦労していないように見えてしまうが、実際は理解が進まずにかなり苦労した科目も多かった。

5(優)4(優)3(良)2(可)1(不可)
11201350
311350

【卒業式】
3月25日、長かった4年間の大学生活の締めくくりである卒業式の日がやってきた。講堂での卒業式の後、学科ごとに教養棟の講義室に行き、卒業証書を受け取った。キャンパスがある南大沢の地、通学の足だった京王線・都営新宿線の電車に別れを告げた。


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